沖縄問題 :感情に流されない議論を「産経新聞」平成9年(1997年)4月28日付「読者から」
<四月二十一日付け、評論家・恵隆之介の「わが沖縄県民よ忘恩の民になるのか」に対して>
読者から東京都昭島市 光田和男(七四才)
深い感銘を覚えた。沖縄県人である恵氏が、沖縄の歴史や県民の実態を率直に語り、政府の今までの配慮が不十分であったとはいえ、必ずしも冷酷非情な仕打 ちではなかったことを述べておられるのに救われる思いだ。特措法改正が多数の賛成で成立したが、これを非難する声も少なくない。橋本内閣の肩をもつわけで はないが、現在の東アジアの情勢下では、これが精いっぱいの対応といえよう。沖縄問題に対するマスコミなどの反安保的論調は、自虐史観によって日本および 日本人を一方的に断罪している主張と同根であることを認識したうえで、感情に流されずに論議していくべきだろう。 (元小学校長)
東京都豊島区 杉本妙子(六八才)
日ごろの胸のつかえがおりた気分がしました。沖縄の人たちが多額の補助金をもらいなが ら、なぜ感謝の気持ちの一片もなく不満ばかりを言い募っているのか、という疑問にひとつの答えが出されたからです。戦後、海外から引き揚げてきた人たちの なかには、働いて手にした財産を没収された人もいます。地主として地代をもらっているだけでも幸せと思うのですが。 (主婦)
神戸市西区 池本達哉(一九才)
日本人は"理想"と"現実"が区別できないのではないか。理想でいえば軍事基地のない平 和な島が一番だ。しかし、歴史の流れのなかで、現実問題が重なった結果、現在のような状況になったのである。「痛みをみんなで分け合う」というのも聞こえ はいいが、現実的ではない。感情だけでものを論じるのではなく、現実的平和のあり方を考えていきたいと思う。 (学生)